10月も半ばに入り、秋雨が続く今日この頃 皆様いかがお過ごしでしょうか? あと2ヶ月で今年も終わり。。時が経つのもあっという間ですね。
気温もぐっと下がり、冬の気配もチラホラ見えてきましたが、皆様はフィラリア薬、何月まで投与しますか? 「蚊がいなくなったから今月で終わり」「外に出さないから、飲ませていない」「副作用が怖いから、予防薬はあげていない」とかではないですか?
フィラリア症の原因となるのは、糸状虫。今回は犬糸状虫に対するフィラリア薬についてのお話です。
フィラリア薬は駆虫薬です
毎月しているフィラリアのお薬は予防薬では無く、体に入ってきた《子虫を殺す薬》というのはご存知でしたか?しかも、効果を発揮するのは《血管に侵入する前の子虫のみ》ですので、投与時期を間違えると効果がありません。殺せなかった場合、子虫は成長を続けて成虫になり、心臓や血管内に寄生してしまいます。(薬によっては、成虫にも効果があるものもあります)
《定期的な駆虫薬を投与する事でフィラリア症から愛犬を守る》という意味で「フィラリア予防薬」と表現される方もいらっしゃいます。
お薬は蚊がいなくなってからも必要です
駆虫薬ですので、(乱暴な言い方ですが)寄生していなければ投与の必要はありません。副作用の無いお薬が存在しないのと同じで、この駆虫薬も副作用が出る場合があります。効果が無いのに投与していても意味がないし、副作用の事を考えるとあまり過剰に投与したくないですよね。そこで、一番効果的に且つ過剰投薬しない為にも、投与期間は《蚊が出てきた日の1ヶ月後》から《蚊がいなくなった月の1ヶ月後》までと言われています。
フィラリア薬に虫除け効果はありません
フィラリア薬を投与していても、蚊にさされます。ワンコも蚊に刺されたら痒いです。時として、虫さされによるアレルギーや皮膚病を誘発する場合もありますので、その子に合った虫よけもしてあげてください。ワンコ用の蚊取り線香も良いですが、お散歩中に刺されてしまう事が考えられます。フィラリア薬の種類によっては、フィラリア(糸状虫)以外の寄生虫にも効果があるものがあります。病院などでお確かめください。
成虫にならなければフィラリア症の症状は表れません
お腹が膨らんでくる・苦しそうな咳などの症状は、成虫が心臓に寄生してはじめて表れます。寄生虫の数にもよるかもしれませんが、成虫になってから駆除するには基本手術となり、愛犬の身体に多くの負担がかかる事になります。
子虫の寄生の有無は検査ではわかりません
フィラリア症の検査はいつくか種類がありますが、血液から調べるので筋肉や皮膚下に寄生している子虫は検出できません。投薬前に検査をするのは、《成虫》もしくは《寄生している成虫が産んだミクロフィラリア》がいるかどうかを調べるためです。《投薬が可能かどうか》の検査なので、《投薬開始時期の目安》ではありません。
私からのお願い
AHT(動物看護師)をしていた頃、フィラリア症のワンコが何頭か来院されました。とても苦しそうな呼吸で、みているのも辛かったです。フィラリア症は適切な投薬で完全に防ぐ事ができます。子虫が寄生していないかもしれないのに駆虫薬を投与する事になりますが、今はこの方法が一番確実なのです。ワンコの苦しむ姿は見たくありません。どうか愛犬をフィラリア症から守ってあげてください。